婚約者が死んでしまった男性10
突然腕を掴まれて二軒目に行こう!と強引に迫る男性
こんなに大人しそうな男性なのに…?
今まで全く女性経験のなさそうな男性なのに…?
なんなの、この積極性…
ちょっと待ってください、と押し問答をしていると店の店員が気づいた。
『…お客様、お飲み物いかがですか?』
ナイスフォロー〜〜!
居酒屋の店員が、お飲み物は?などと個別テーブルに来るわけがないので、明らかに私たちの様子がおかしいのに気づいて来てくれたに違いない
この人、ちょっと頭イカれてんな、
キッパリ断るしかない
そう思った私は
…お店出ましょうか、今日は私帰ります。
二軒目行きましょうよ
結構です
こういう誘われ方、困るんです。
せっかくですが、すみません。
あ、すみません。
そう言って男性は私の腕をパッと離した。
愛想笑いしていた私が突然真顔になるもんだから、これはマズイと思ったんだろうか。
お店を出た、エレベーターの中で
すみませんでした。ただ、もう少し話したいと思っていて。今日がダメでも別の日でいかがですか?
すみません、考えさせてください
…僕の何がいけないんでしょうか…?
あんたの全てがダメなんだよ
←心の声
こんな事、この状況でこんな発言を直接本人にするところ辺り、女性慣れしてないな。
というより、初対面の相手にコレ聞く?
単純にこの人、空気が読めない。
=仕事も出来ない人なんだろうな。
…今日は帰ります。ありがとうございました。
…あ、えーと。
お店をでると目の前が、好都合なことに東京メトロの地下鉄へ続く階段に。
本当はJRだったけど、早くこの男性と離れたくて
では、私はここで。
あ、駅まで一緒に歩きませんか?
ここが、私の駅なので。
そういって男性の顔も見ずにそそくさと地下鉄に降りる。
飲み会で盛り上がる金曜の夜で良かった。
サラリーマンで溢れかえる新橋で、人に紛れて気配を消しました。住んでる場所とか飲んでるときに話してたから、地下鉄が駅だなんて多分嘘だってことはバレてる。
その後も連絡が来ましたが、もちろん完全に無視。
はぁ、ほんとに死神のような男性でした…
終わり