別れ話をしたら金返せと言われた②
前回の続きです。
25歳、新卒時に付き合っていた上司との話です。
転職活動がうまく行かず、彼からは早く結婚して専業主婦になり
子どもを産んでほしいと迫られるような状況だった。
一瞬それもアリかと思ったりもしたが、私は心の中で
大学まで行ってやっと上京したのに、社会人2年目に職場結婚をして寿退職。
そのまま専業主婦になるなんて考えられなかった。
前の記事にも書いたが、彼との付き合いは金がかかり、私はその時貯金がほぼない状態だった。
なりゆきで彼と同棲を始め、なりゆきで結婚式場まで仮押さえ。
そして両親にも挨拶をするというなんとも外堀から固められていった。
また、私はなぜか彼のご両親からもとても気に入られていた。
もう嫁に来てくれるもんだと思われていたようで、彼のご両親から
600万の預金が入った通帳と印鑑を渡された。もちろん彼も同席だったが
『このお金、好きなように使って、あなたたちの将来のために』
彼は特別お金持ちの家ではない、普通の家庭の人だったが、とても愛されて
育った人だったんだと思う。
私はだんだん怖くなり、早く仕事を見つけて彼から離れようと思うようになった。
彼と結婚するのはいいが、『今ではない』という心情だった。
それから約2か月くらいだっただろうか、彼と一緒に住み、まるでその生活は新婚生活のようで、私がご飯を作って毎晩彼の帰りを待つような毎日。
私としては退屈で社会から取り残されている気分だったが、彼にとっては幸せな時間だったらしい。
彼に転職活動の話をして、結婚後も仕事は続けたい話をした。
彼も2年くらいなら働いていいのでは?といった感じでしぶしぶ了承してくれた。
そこから私は『次は絶対失敗できない』という思いで転職活動を開始した。
思ったより早く仕事は決まった。
私はとある英会話学校の受付に内定をもらい、そこに入社することにした。
受付といっても名ばかりで、新規会員の獲得や既存顧客対応もあるので、一言でいうと
営業職だった。
朝の11:30~22:00までの仕事で、彼と同じくらい遅い仕事だった。
帰りが遅く、私が家事ができないことやハードな仕事だったため、
彼はこの仕事に不満をもらすようになった。
『仕事遅くない?そんなんで体調崩さない?子ども産めるかな・・・』
などなどボヤき始めた。
私もなんとか彼の不満を落ちつけようと家庭との両立を頑張ったが、なかなかうまく
いかず、申し訳ない気持ちでいた。
しかし私はこの仕事が自分にかなり合っていた。
営業職は初めてだったが、自分の得意な英語を活かし、ティーチングよりも
顧客管理や数値を追いかけることは自分の性に合っていた。
辞める気は全くなかった。
とある晩に彼と大喧嘩になった。
『1年後に結婚を控えているというのに、仕事ばかりで何を考えているんだ』
『本当に結婚する気があるのか』
『もう結婚は決まっていることなんだ』
確かにそうだと思ってはいたものの、私はどうしても仕事をしたかった。
彼よりも仕事が大切で、自分の可能性を確かめたかった。
しかし彼には私の給料の安さから『働くに値しない仕事だ』とバカにされた。
私にとっては貴重な仕事だったのに。
仕事を始めて数か月だったが、私は1年後に彼と結婚するなんて、到底考えられないようになっていた。
それから数日くらい経ってからだろうか。
私は別れ話を彼に切り出した。
そして、同棲していた彼の家を出て、ひとり暮らしを始めた。
結婚の約束をしているわけだから、法的には私たちは婚約中なんだろうか・・・・
別れる=婚約破棄となるのだろうか。
案の定、彼は大激怒し、こう言った。
『ふざけんじゃねぇよ、これまでどれだけ俺がお前にしてやったよ、
今更別れるなんてなめてんのか。』
電話だったが、彼の変貌に私は震えた。
『俺がこれまでお前にしてきたもの、すべて金で返せよ、いくらか後で請求してやる』
などど言って電話が切れた。
後日、彼の母親からも連絡がきた。
『・・・あなた一体どういうことなの?ここまで話を進めておいて別れるなんて
身勝手すぎるんじゃない? あなたを詐欺で訴えますから』
彼からの電話はその後なかったが、この母親からの電話は昼・夜関係なく
続いた。留守電にもメッセージが入っていて嫌がらせレベルである。
いくらだったか覚えていないが、多額の金額を彼から請求された。
これまでの食事代や旅行代、なんかいろいろ入っていた。
当時26歳の私には払える額ではなく、お金のために泣く泣く彼と結婚しなければ
いけないのかと数日間、かなり悩んだ。
続く